川内原発の一時停止について技術者倫理に基づく見解

原子力規制委員会において、川内原発の一時停止について技術に対して真摯に検討・議論することを求めるブログです

実績加速度を基準地震動の算出条件に換算すると約530ガル(長沢啓行名誉教授)

この指摘は極めて重要です。今回の地震規模の実績530ガル(基準地震動の算出条件に換算)に対し、もともとの予測モデルに今回の地震の条件を代入したとき、果たしてそれ以上の数値が導き出されるのでしょうか。予測モデルによる再計算結果が530ガルを下回るのであれば、他の断層に関する予測についての信頼性が失われます。

大阪府立大の長沢啓行名誉教授(生産管理システム)が観測値を基に「原発があるような強固な地盤での揺れ」を試算すると、約530ガルの揺れが地層部で 発生していた。これは、2004年の北海道留萌地震を参考に算出した川内原発の基準地震動(耐震設計で考慮する最大規模の揺れ)620ガルに迫る数値だっ た。』

www.nishinippon.co.jp

4/20(水)AM 原子力規制委員会定例会議

本日、AMに行われた第4回原子力規制委員会では、
主に高浜原発再稼働の話し合いがなされており、
川内原発に関しては、冒頭・末尾においてすら触れられていませんでした。
実際に、昨晩、震源地が南西方向に移動している最中、あまりにリスク管理能力の低い対応です。

まず、外部の有識者を呼び、真摯な議論をするように、皆で求めましょう。

原子力規制委員会コールセンター
03-5114-2190

第4回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会

原子力規制委員会に真摯な議論を求める声明(拡散希望)

まず、今回の地震で被害にあわれた方々には、心よりお見舞い申し上げます。

川内原発の一時停止の議論についての皆さまへのお願いです。

九州でこれだけの地震が起き、さらなる震源地の拡大も否定ができないといわれる中で、川内原発は稼働を続けています。

政府は、原子力規制委員会の決定に従うと言い、規制委の田中委員長は「科学的根拠がなければ、国民や政治家が止めてほしいと言ってもそうするつもりはない」(毎日新聞)と述べています。
しかしながら、昨日開催された委員会はわずか40分弱であり、その内容も大半は規制庁の官僚からの報告。質疑においても、現状のリスク増加を念頭に置いた質疑はほとんどなされていませんでした。
(会議動画は規制委のホームページで公開されています)
この有様にも関わらず、科学的根拠に基づき議論を尽くした(規制委コールセンター)とのことを言っております。

皆さまにお願いです。
そもそもの原発への賛否、今一時停止すべきかすべきでないかに関わらず、規制委に真摯な議論をするよう求めて頂けませんでしょうか。
委員会外の地震学者、地質学者、火山学者等を招致して、本当に現地の人々・国土のことを考えた真摯な議論を行うよう要望して頂けませんか。

規制委のコールセンターはこちらです。
03-5114-2190
夜間はつながりませんので、日中におかけください。
匿名で問題ありませんし、コールセンター専門の職員ですから、電話を恐れる必要はありません。

何卒、心よりお願い申し上げます。

この問題を追及する理由(facebookから転載)

これまで、facebook上には政治的意見は書かないとしてきましたが、原発についての投稿をし続けているのは、これは政治的問題ではなく、技術 的問題であると考えているからです。(もし実情が政治的問題なのだとしても、本来は技術的問題であり、この緊急時はなおさらそうであるべきと信じているか らです)

一人の技術者として、規制委が技術に対して真摯に向き合わない姿勢が許せない。特に安全に関わる技術なのです。真摯な調査・計算・議論を行って、その上で 安全と認められるのであれば、この件に関しては納得します。それが今現在なされていないから、非常に怒っているのです。

前職においては、トラブルに対して、またトラブルを未然に防ぐための議論は、非常に精緻に行われていました。特に安全に関しては。製鉄所と比べ物にならな いぐらい危険な原発を扱う以上、当然それ以上に精緻な検討が必要です。再稼働にあたっての検討は、非常に精緻に行われたものと信じていますが、相手は自 然、今は明らかに状況が変化しているのです。

原子力行政がこの体制で続く限り、日本において原発という技術を用いることは不可能であると言わざるを得ません。原発単体がそこにあるのではなく、それを取り巻くソフト面(人間・組織etc)を含めて、原発という技術なのです。

4/21までに原子力規制委員会コールセンターへ要望した事項

4/21までに原子力規制委員会コールセンターに要望した事項を掲載します。

 

1.
現状起きている地震は、南西方向に移動した昨晩の地震も含め布田川・日奈久(ふたがわ・ひなぐ)断層帯で起きていますが、
原発直近の、市来(いちき)断層帯および甑(こしき)断層帯等の断層帯が震源地となるリスクについて、
平常時に比べ上がっているのか否かについて調査・計算・調査を行うべきと考えます。

2.
布田川・日奈久断層帯において、M8.1の地震が起きた際に震央で想定されるとした加速度を、
今回の地震の大きさ・ずれた断層の長さなどの条件で換算すると何ガル相当になるのかを計算し、
それで出た推定換算値と、今回の実績1580ガル(防災科学技術研究所発表)とを比較することによって、
加速度の推定モデルの妥当性を検証する必要があると考えます。
万一、実績値の方が大きい場合には、原発直近の市来・甑断層帯においての
推定計算の信用性が失われる可能性があると考えますので、早急な計算が必要と考えます。

3.
日本において高密度地震観測網が整備されたのは1995年以来で高々ここ20年のデータの蓄積しかありません。
わずか20年のデータの蓄積を根拠として、九州地方で観測史上最大であり、かつ震源が移動するという点も観測史上初であるという地震に対抗し得ると判断できるのですか?そう判断できるのであれば、その明確な技術的根拠をお示しください。
それができないのならば、少なくとも、今回の地震が収まり、十分な解析が行われるまでは、一時停止するべきではないでしょうか。

4.
18日の会議はわずか40分弱でそのほとんどは現状の報告、20日の会議に至っては高浜原発の再稼働と全く無関係のことを論じている。石渡委員が唯一地質の専門家でありますが、会議中には「この件には詳しくないが」というような声も多く聞こえ、一時停止するか否かについて、技術に対して真摯に議論しているようには到底思えません。
止める止めないは、規制委員会が判断すべきことですが、それならば気象庁や、外部の止めるべきと主張している有識者(小出裕章氏、立石雅昭氏など)も招致し、技術的議論を闘わせたうえで判断を行うべきではないですか。

5.
原子力規制委員会コールセンターから、規制委員会・規制庁内部に情報が上がるのは、翌日広報室にあげられた後になるとのこと。この事態において、そのような通常通りのスピード感の無い対応は非常に問題があると思います。たとえ地震学者からの意見であっても、伝えるのは翌日になると言っていました。夜間や休日の対応もしていないようですし、極めて危機意識が低いと言わざるを得ません。また、コールセンターが言っている内容と、実際の会議や会見との内容が異なるケースも散見されます。
このようなときは24時間・土日含めた受付体制とし、コールセンターに一次判断を行える担当者を常駐させて、緊急性のある情報は直ちに上に上がる体制にすべきではないですか。

4/18(月)PM 原子力規制委員会記者会見

AMの会議を受けて、規制委の記者会見が開かれた。
詳細は、下記速記録を読んでいただくとして、重要と思われる点をまとめる。

https://www.nsr.go.jp/data/000147637.pdf

Q1.(停止を求める側の主張として)震源地の方では1,580ガルを記録した。川内の基準地震動は620ガルなので、基準地震動見直しを要請したいと言っているが、これについての見解は?

A1.1,500ガルを観測したのは、防災科学技術研究所地震計であり、地表面での測定が多く、地表面だと増幅する傾向が多い。分析してみなければわからないが、今言えることは、地表面での測定ではないかと思っている。ただ、今後、詳しい分析は必要
だと思っている。

コメント1.今回の地震は、九州島内で観測史上初めて起こった大地震である。日本において高密度地震観測網が整備されたのは1995年以来で高々ここ20年のデータの蓄積しかなく、もちろん九州島内において、この規模の地震のデータが得られたのは初めてである。そのため、この実績データの分析は非常に重要かつ急を要する。もし、データの解析に時間がかかるならば、少なくともその間は、一時停止する必要があると考える。

 

Q2.(国民から)止めてほしいという多くの声があっても、予防的に止めるつもりはないか?

A2.科学的根拠がなければ、国民や政治家が止めてほしいと言ってもそうするつもりはない。

コメント2.規制委としては、あくまで科学的根拠に基づき判断する(政治的判断はしない)というスタンスは構いませんが、その科学的な議論がほとんどなされていないことが大問題です。
政府は、規制委の判断に委ねるという趣旨の答弁を繰り返しており、今や停止判断をできるのは規制委だけなのです。止める止めないは別にしても、技術に真摯な態度での議論を強く求めます。

4/18PM 原子力規制委員会コールセンターへの問い合わせ

原子力規制委員会のコールセンター(03-5114-2190)に電話を行った。
このときは、会議動画を見る前に電話をしたため、いくつかの事実誤認に対して突っ込むことができなかった。

得られた情報は以下の通りである。

1.情報公開体制が悪いとの指摘から、今後規制委が得られた情報は全て国民に開示していく。

2.現状、鹿児島において地震が発生するリスクは平時と比べて高いという認識は、規制委としてもあるとのこと。
⇒その割には、会議で議論がなされなかったのはなぜか

3.その上で、もし鹿児島においてM8.1の地震が起きても、原子炉建屋は問題無いということをこの会議で確認し、運転を止める必要は無いという判断に至ったとのこと。
⇒これは明確な事実誤認。M8.1というのは、今地震が起きている布田川・日奈久断層帯で想定されている最大規模であり、この断層は鹿児島県に達していない。他の断層帯に関する議論はなされておらず、よって、鹿児島県の議論は全くなされていない

4.原子炉稼働中にスクラムをかける場合と、今から停止しておく場合にどちらがリスクが低いのかという質問については、仮定の話なので答えられないとのこと。規制するあなた達が仮定の話を想定できなければ、誰が想定するんですか?とは言っておきましたが。

5.高速道路、新幹線が不通の状態で、避難計画に支障が無いのか?という質問については、避難計画は自治体主管のため、自治体に確認をとのことでしたが、今現地に電話をするのは迷惑なのでしません。

6.原子力規制委員会環境省の外局という体裁ではあるが、基本的には独立した組織であるとのこと。丸川環境相を責めても効果は薄そうです。