川内原発の一時停止について技術者倫理に基づく見解

原子力規制委員会において、川内原発の一時停止について技術に対して真摯に検討・議論することを求めるブログです

4/18(月)AM 原子力規制委員会臨時会議

4/18AM

熊本地震を受けて、臨時の原子力規制委員会が行われました。(以下から、会議動画・配布資料が見れます)

www.nsr.go.jp

地震発生4/14以後の初会合であり、そもそも対応が遅すぎます。会議はわずか40分足らずであり、そのうち20分強は規制庁からの報告で、質疑は20分に満たない時間でした。会議の雰囲気としても、緊急性・真剣味が全く感じられませんでした。さらに、出席者は規制委員と規制庁のみであり、気象庁防災科学技術研究所、外部の一時停止を求めている有識者は召致されていませんでした。
原子力「規制」委員会なのだから、まずもって稼働停止を前提として、稼働してもよい理由を探すのが、技術者倫理上あるべき姿と思います。わずか20分足らずの予定調和の質疑で、九州・日本の数万年にわたる未来を決定することは、到底承服できません。

主な内容を以下に特記します。

1.時間のほとんどは、すでに起きた地震については、川内原発での揺れは極めて小さく、問題ないという趣旨の報告に充てられていた。この内容については、映像を見なくとも、配布資料を読めば大体把握できます。

2.唯一、将来を心配する質問として、伴委員から「国民は震源が移動していることを心配しているが、川内原発により近い南西方向の断層で地震が発生する場合の影響」について質問が出た。
石渡委員(地質専門)は「(今回の震源である布田川・日奈久)が全部動いてもM8.1で、原発サイトに与える加速度は150ガル程度(基準地震動620ガルに対して小さい)」という回答を行った。
この質疑により、今地震活動が起きている布田川・日奈久断層帯(原発から想定震央まで92km)においては、想定される最大規模の地震が起きても、川内原発には大きな影響はないということが示された。一方で、布田川・日奈久断層帯以南の断層帯、例えば原発の直近にあり、540ガルの加速度が想定されている、市来断層帯(M7.2想定、原発から震央まで12km)および甑断層帯(M7.5想定、震央まで26km)について、平時に比べてリスク(地震発生確率・想定規模)が上昇しているか否かという議論は全くなされなかった。

3.田中委員長自身が「基準地震動に対して、原子炉自動停止の地震動が小さいのは、念のため早期に止めてしまうため」という認識を示しており、少なくとも原発単体としては、止めたほうがより危険であるということは無いはずである。

4.原発を停止することの議論自体をしていないため、当然ながら、先のエントリに挙げたような停止することによるデメリットの議論はなされていません。